産前産後休業後の原職・原職相当職への復帰


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー014号(H17.07.05)

あの人の言葉発見


次世代育成支援対策推進法が4月に全面施行され、子育て支援に力を入れる企業が増える中、大手住宅メーカーの大和ハウス工業は1日、子供が生まれた社員に対し、子供1人につき100万円を支給する制度を導入したことを明らかにした。

日本経団連は「これほど高額を支給する例は聞いたことがない」としている。

対象は、今年4月1日以降に子供が生まれた社員。
子供が扶養家族である必要はなく、共働きで、子供が夫の扶養家族になっている女性社員にも支給するのが特徴だ。

約1万2000人の社員中、6月末までに111人が受給し、三つ子が生まれ300万円を受け取った社員もいた。

子供が多いほど住宅市場が拡大するということもあり、子育て支援に力を入れていることをアピールする。
「子供生まれたら100万円 三つ子で300万」
大和ハウス、子育て支援
読売新聞 17.7.2 一面

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔産前産後休業後の、原職または原職相当職への復帰〕

ペコポン
「産前産後休業」というものが、労働基準法で決められている。
読んで字のごとく、出産の前と後に、女性社員は仕事を休むことができる、というもの。

ぼんさく
前回やった「母性の保護」の1つだね。

ペコポン
そのとおり。 ぼんさく、感心。

ぼんさく
内容は労働基準法のときに触れるんでしょ。

ペコポン
そう、そう。(笑)
ここで話題にしたいのは、「原職または原職相当職」。
つまり、休み明け、の話し。

産前産後休業の期間は、「産前6週間、産後8週間」というのが典型なんだ。

ぼんさく
計14週間。3ヵ月チョットかぁ。

ペコポン
社員としては、その休み明けにも、元のところに戻りたい。

ぼんさく
そりゃ、そうだ。

ペコポン
逆に言えば、元のところ所に戻れるなら、安心して休みが取れる。

ぼんさく
そうすれば、母性の保護だけでなく、働きながら子どもが産みやすいってコトにつながるワケか。

ペコポン
というわけで、「元のところ」に復帰できるようにすることが行動計画の項目の1つにあげられている。

さて、ここから本題。
「原職」はいいよね。
まさに、元の仕事内容、元の職場、元のポジション、元の給料。

文字通り、元と変わりなしってコト。
「原職復帰」できれば、問題はない。

でも、社員が休んでいる3ヵ月チョットの間も、当然会社は動いている。
ケースによっては休んでいる期間がもっと長い場合もある。

その休んでいる間、会社の内外に変化があって、どうしても「原職」への復帰は無理という場合。

そういうときは「原職相当職」でもヨシとしなきゃね。

ぼんさく
じゃぁ、どこまでが「原職相当職」?

ペコポン
そこなんです。問題は。
一概には言えないんです。ココまでって。

例えば、こういうケース。

ある部署の課長職の人が、産前産後休業をとりました。
その部署では、課長職がいないと仕事がまわりません。
  ↓
そこで、別の人がそのこの部署の課長職に就きました。
  ↓
その間、その部署は、たまたま中期大型案件にとりかかることになりました。
毎日、遅くまで残業が続いています。
  ↓
さて、前課長の産前産後休業の期間が終了し、出社することになりました。
でも、仕事相手先との関係上、課長を元に戻すのは好ましくない状況です。
また、休養をとったとは言え、産後の元課長には毎日の残業と激務はキツそうです。
  ↓
「原職」への復帰は難しい。

こんなケースのとき。

例えば、
・他の部署での課長職や課長相当職に就いてもらったり、
・ポストがない場合でも、給料の額を維持したり、
・今までの経験などを尊重した仕事をしてもらったり、
すれば一応、「原職相当職」とみなされるようです。

ちょっと例が抽象的になってしまったけど、会社の状況は、それぞれなので、そのときそのときで個別に判断してもらうしかないです。

ケースによっては、勤務地が変更になっても「原職相当職」と認められることもあるようです。

ぼんさく
要は、仕事内容、場所、ポジション、給料など総合的な判断のもと、何の項目を優先させるかでも変わる、ってことだね。

ペコポン
今日は、随所でフォローありがとう。ぼんさく。

この「原職または原職相当職への復帰」は、育児休業規程などで、「復帰できる」旨を規定しておこう。
約束事としてね。

規定のしかたは、
「原則、元のとおりに復帰できるよ」
「でも、場合によっては元のままとはいかないこともあるよ」
としておくといいね。

ぼんさく
社員がコレを見て、分かるんだね。

ペコポン
また、業務内容や業務体制を見直すことで、原職復帰しやすくなるようであれば、その見直しも行動計画内容に該当するよ。

ぼんさく
ソレは、言葉では簡単だね。

ペコポン
ぼんさく。最後にキビシイなぁ。

誌上しつもん会


Q.1度決めた行動計画期間は、その後も継続しなければなりませんか?
東京・サービス業

A.例えば、最初の行動計画について期間を2年として提出し、次の行動計画について期間を4年、続けて3年の期間、そして1年の期間と、計4つの行動計画策定届を提出することは可能です。

つまり、行動計画期間は、行動計画策定の都度、それぞれに決定して構いません。

ただし、上記の例でいうと、最後の行動計画についてはその期間が1年であるため、「認定」の申請はできないことになるので、注意が必要です。

(参考)
行動計画期間は、次世代法の施行期間である平成17年4月1日から平成27年3月31日の10年間のうち任意で設定することになっています。

行動計画指針では、2年〜5年の間が望ましい、とされており、「認定」取得を目指すには、この要件を満たすことが必要になります。

わたしの後記


驚きました。大和ハウス。

育児支援の方法としては、以前紹介した三洋電機の方法と同じ。
出産時に一時金を支給する、というもの。
ただその額が大きかったようです。

やはり気になるのは、それまであったであろう毎月々の扶養手当(家族手当)。
存続しているのか、代わりに廃止になったのか。
廃止になったとして、総額では増えたのか減ったのか・・・。

でも驚いたと言っても、それは、その方法でも、金額でもありません。
私が知っている範囲だけですが、取り上げたのは読売新聞一紙のみ、だと思います。

ただし・・・なんと1面記事。
そのことにはちょっと驚きました。

次世代法関連で、企業単独の記事としては珍しい。
「へ〜」という感じです。

ところで大和ハウスに、「ちょっと変わった」というか、「勢い」みたいなものを最近、感じていました。
そのテレビCMで。



研究室。
顕微鏡を覗く一研究者が、何かを発見。
教授らしきリーダー格に顕微鏡を代わる。
モニター表示で研究者たち皆が見る顕微鏡の中。
そこでは、細胞のようなものが家を建てている。
そして仲間が集まっている。
新築祝いをしている、と言う教授らしき人物。
家にはメーカー名が。
「なんで大和ハウスなんだ?」



中堅風サラリーマン4〜5人の集まり。
ちょっと疲れ気味の様子。
同僚の家らしき一室。
しかも子どもの勉強机がある部屋。
すごろくゲームの雄「人生ゲーム」に興じる面々。
駒が進んだ場所「家を建てる」のマスには不自然なシール。
はがすとそこにはメーカー名が。
「なんで大和ハウスなんだ?」



ちょっと気に入ってます。このシリーズ。

このCMと、大和ハウスの業績と、次世代育成支援の取り組みと、それぞれの相関関係は知る由もありませんが、私の中ではあるイメージがわきあがります。

21世紀企業になるかも、大和ハウスも、と。



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