年次有給休暇の取得促進


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー035号(H17.12.06)

あの人の言葉発見


04年度に新たに育児休業をとった国家公務員の男性が初めて100人を超えたと、人事が発表した。
育休取得の男性は122人で前年度比47人増だったが、女性の4800人(前年度比64人増)に比べれば少数だ。

それでも人事院は「男性の取得人数はまだ少ないが、育児に参加しようとの意識は徐々に浸透しているのではないか」とみている。
育児休業の対象者に占める取得率は、男性0.9%(前年度比0.4ポイント増)、女性92.5%(同0.3ポイント増)。

民間の取得率は、厚生労働省の03年度の調査で男性0.6%、女性70.6%で、民間に比べれば、国家公務員の方が男性の取得率はわずかに高い。
国家公務員の男性
育児休業取得は122人
朝日新聞 17.9.3 政治総合

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔年次有給休暇の取得促進〕

ペコポン
この項目の例としては
  • 年次有給休暇に対する意識改革
  • 計画的付与制度の活用
  • 年間取得計画の作成
などがあるよ。

ぼんさく
「年次有給休暇」には、前回の「残業」テーマと似ているところがあるね。
『残業することがエライ』というように、
『仕事を休むことはイケナイ』といった意識がある。

ペコポン
勤労を尊し、としてきた日本人の国民性かもね。

ぼんさく
そのことは、悪いことじゃないけどね。

年次有給休暇の理由として
「病気など体調が悪い場合は仕方ない」けど、
「遊びや、単なる骨休めなんて認めない」なんて風潮の職場もある。

ペコポン
文化的なことは置いといて、法律的な話しをしよう。

年次有給休暇はどんな理由でも取得できる、ということになっている。
会社の干渉を受けるものではないし、そして会社の許可や承認も要しない。

これは、法律にそういう条文があるわけではなく、昔から今までの判例からできたルールなんだ。
(国鉄郡山工場事件 最高裁判決 昭和48.3.2)

ぼんさく
判例? 法律の決まりじゃないの?

ペコポン
裁判所の判断は、法律に書いていない部分を補うものとして、法律と同じような拘束力があるんだよ。

ぼんさく
へ〜。

ペコポン
「年次有給休暇の取得理由は何でもいい」ということは、理由を問うこと自体意味がないことになる。
だから、問うことに合理的理由ある場合以外は理由を問うことは不可。

ぼんさく
会社内の年次有給休暇手続き書式をチェックしなきゃ。

「理由も問わない」「許可や承認もいらない」となると、かなり社員本位に年次有給休暇が取れることになっているんだね。

ペコポン
うん。
でも、あまりにも勝手に休みをとられては、仕事に支障をきたす場面がでてくる。
そこで、会社には、「時季変更権」が認められているんだ。

「事業の正常な運営を妨げる場合」には、申し出た年次有給休暇の予定日を代えてもらうことができる。

とは言え、この「事業の正常な運営を妨げる場合」というのがクセモノ。
単に「忙しい」というだけでは、これに当たらない。

ぼんさく
じゃあ、どんなとき?

ペコポン
それはケースバイケース。
個別に判断されることになる。
だから、「こういう場合」とは言いづらいんだ。

過去の判例研究をすることによって、ある程度類推はできる。
でもここではテーマから外れてしまうので、またの機会にゆずろう。

ぼんさく
まぁ、社員のほうも年次有給休暇をとって休む場合、上手に休むようにしなきゃね。

体調不良は別にして、骨休みするなら、繁忙期を避ける。
遊びやレジャーのために休むなら、休みの前に、仕事の段取りや周囲への引き継ぎ伝達などを済ませておく。
とかね。

ペコポン
「権利なんだから休むのは当然」という顔で休むのは止めよう。
社会人の「マナー」としてね。

ぼんさく
会社も社員も大人の対応。
尊重しあってお互いの立場を理解する。
そういう職場、そういう世の中になりますように。

「計画的付与制度」は前に一度出てきたね。
(008号「次世代法・認定基準(その4)」参照)

まだ説明はないの?

ペコポン
「労働基準法」テーマでね。

わたしの後記


今頃になって知ったことがあります。

私は、自分でメルマガ発行する数年前から、メルマガ読者でした。
今でこそ整理してほどほどの数になりましたが、登録累計数は数知れず。
PDA(携帯情報端末機)で受信して、持ち歩き。
移動の電車の中などで、すべてに目を通してたんです。

そんな立派なキャリアを持ち合わせている私は、今まで知らなかったんです。
こんなメールが送られてくるまで。

題名
「Re: 次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源 034号」

ん? なんじゃコレ?
メールアドレスも見覚えないな・・?

えっ! 配信されたメルマガ、返信すると発行者に届くの!?

知らなかった・・・



そうなんです。
読者の方から、嬉しい「ご感想メール」をいただいたのです。

今まで、ホームページ経由の資料請求と一緒にご感想をいただいたり、知り合いの読者の方から、ご感想を聞かせてもらったり、はありました。

また、別テーマで、当事務所ホームページに訪問され、気に入っていただき、ご感想を寄せていただくとともにメルマガ登録した旨、知らせてくださった方もいらっしゃいました。

が、純粋な読者の方が、(→ 他の方が不純ということでは、決してありません)こういった形で、純粋にご感想を(→ 他の方のご感想が不純ということでは、くれぐれもありません)くださったことには、また、違った感動がありました。

ちょっとご紹介させていただきます。
(ご本人は、快諾してくださいました)

> はじめまして。
> 兼業主婦で●●をやっている○○といいます。
> 夫が育休を取ったので、いろいろ調べている時に
> こちらのメルマガを知りました。
>
> 夫は私の産休中に無事2ヶ月の育休を取り、
> 今は仕事に復帰しています。
> 私の方は1年育休を取っています。
> 初めての出産から2ヶ月を夫婦で育児することが出来、
> とても良かったです。
>
> 大人二人でやっても決して初めての育児は楽とは
> 思えませんでした。
> よく他の人達は奥さんだけで頑張っているなあ、
> って思います。
>
> もしくは、奥さんが里帰り出産だとすると、
> 旦那さんは一番子供が成長する2ヶ月間を見ることが
> 出来ないなんてとてももったいないなあ、って思いました。
>
> うちの夫が育休を取ったのも、男性では社内初だったので、
> こちらのサイトの資料から法律に関することをコピーして
> 総務部に提出したりしました。
> もっと広く男性の育児休暇が広がるといいのに、と思っています。
> これからもこのメルマガ楽しみにしてます。


いや〜嬉しいですね。

他人様のお役に立てたこと。

会社を動かす力添えになったこと。

男性の育休取得が実現したこと。

子供が一番成長する2ヵ月の重みを知ったこと。

それを見ない父親の生活は重大な過ちであることを知ったこと。

社会の景色が変わることを同じく望んでいる仲間がいること。

そしてこのメルマガを楽しみにしてくれている人がいること。

そのすべてが。

この喜び。
コミュニケーションの醍醐味ですね。



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